現代文

学習院女子大学の国語分析

〇過去5年間の合格最高点と最低点の分析

※学習院女子大学過去の入試データのページより引用。(インターネットアーカイブを使用)

①一般入試B方式(2019年)

学科 募集人数 志願者 受験者 合格者 倍率 入学者 合格者
最高点
合格者
最低点
日本文化 20 320 282 27 10.4 21 151 (200) 139 (200)
国際コミュニケーション 30 516 457 39 11.7 22 159 (200) 143 (200)
英語コミュニケーション 10 151 131 16 8.2 12 233 (300) 201 (300)
合計 60 987 870 82 10.6 55 ※ ( ) は満点

 

②一般入試B方式(2018年)

学科 募集人数 志願者 受験者 合格者 倍率 入学者 合格者
最高点
合格者
最低点
日本文化 20 290 262 29 9.0 23 151 (200) 133 (200)
国際コミュニケーション 30 392 362 41 8.8 31 159 (200) 139 (200)
英語コミュニケーション 10 64 53 12 4.4 9 221 (300) 182 (300)
合計 60 746 677 82 8.3 63 ※ ( ) は満点

 

③一般入試B方式(2017年)

学科 募集人数 志願者 受験者 合格者 倍率 入学者 合格者
最高点
合格者
最低点
日本文化 20 333 293 41 7.1 32 162(200) 130(200)
国際コミュニケーション 30 462 409 39 10.5 31 156(200) 136(200)
英語コミュニケーション 10 141 121 15 8.1 14 207(300) 186(300)
合計 60 936 823 95 8.7 77 ※ ( ) は満点

 

④一般入試B方式(2016年)

学科 募集人数 志願者 受験者 倍率 合格者 入学者 合格者
最高点
合格者
最低点
日本文化 20 167 153 4.9 31 26 156 (200) 129 (200)
国際コミュニケーション 30 412 356 8.1 44 34 163 (200) 139 (200)
英語コミュニケーション 10 54 46 2.2 21 19 212 (300) 168 (300)
合計 60 633 555 5.8 96 79 ※ ( ) は満点

 

⑤一般入試B方式(2015年)

学科 募集人数 志願者 受験者 倍率 合格者 入学者 合格者
最高点
合格者
最低点
日本文化 20 196 165 4.7 35 32 144 (200) 129 (200)
国際コミュニケーション 30 215 176 4.5 39 33 153 (200) 130 (200)
英語コミュニケーション 10 96 79 5.6 14 9 224 (300) 193 (300)
合計 60 507 420 4.8 88 74 ※ ( ) は満点

 

〇このデータから分かること

①合格ボーダーラインは約70%。

②合格最高得点は約80%。

③毎年、160点から140点の約20点の間に合格者の40人がいる。(逆に350人くらいが70%以下の点数)

④志願者数が増えても、合格最低点が上がっていないのは、点数が取れない受験生(過去問対策をあまりやっていない人)が受験しているから。(GMARCH第一志望で滑り止めで学習院女子を受けたが過去問対策をやっていないので落ちている

 

過去問対策をきちっとやれば、40人の中に入れる。
(この40人は過去問対策をやっている人)

 

〇国語の出典分析

年度 出典 ジャンル
2018年B方式 ①高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』

②源河亨『知覚と判断の境界線ー「知覚の哲学」の基本と応用』

美術史

哲学

2018年A方式 ①河合隼雄『イメージの心理学』

②上田紀行『人間らしさー文明、宗教、科学から考える』

心理学

文化人類学

2017年B方式 ①大日向雅美『増補母性愛神話の罠』

②下條信輔『まなざしの誕生ー赤ちゃん学革命』

保育学

保育学

2017年A方式 ①松岡慧祐『グーグルマップの社会学ーググられる地図の正体』

②飯田泰之「情報を捨てる技術ーデータ検証から確率論まで」

社会学

経済学

2016年B方式 ①中村雄二郎『臨床の知とは何か』

②佐々木正人「表面と表現」

哲学

心理学

2016年A方式 ①多田富雄『免疫・「自己」と「非自己」の科学』

②樺山紘一『歴史の歴史』

免疫学

歴史学

2015年B方式 ①小俣和一郎『異常とは何か』

②大築立志『手の日本人、足の西欧人』

歴史学

比較文化論

2015年A方式 ①苫野一徳『「自由」とはいかに可能か」

②山口二郎『いまを生きるための政治学』

哲学

政治学

2014年B方式 ①村上陽一郎『科学の現在を問う』

②大野晋『日本語の水脈ー日本語の年輪<第二部>』

科学史学

日本語学

2014年A方式 ①野家啓一『物語の哲学』

②西垣通『集合知とは何かーネット時代の「知」のゆくえ』

哲学

情報学

2013年B方式 ①有田隆也『生物から生命へー共進化で読みとく』

②梅原猛『地獄の思想ー日本精神の一系譜』

人工生命学

哲学

2013年A方式 ①佐藤光『マイケル・ポランニー「暗黙知」と自由の哲学』

②原克『白物家電の神話ーモダンライフの表象文化論』

哲学

表象文化論

 

〇このデータから分かること

①高校生や大学生が読むような入門書ではなく、研究者が読む専門書である。(問題を作った先生が自分の研究のために読んだものの中から出題している。)

→内容がすごく難しい。出題された文章の内容を理解している受験生はほとんどいない。

②合格点に達している受験生は内容は理解できていないが、文章構造を分析して記述問題を作成している

 

〇記述問題での構造分析による解答作成の方法

学習院女子大学の記述問題にはほとんど「問題文の趣旨にそって説明しなさい」と注意書きがあります。
この注意書きの意図は、「本文にははっきり書かれていませんが、本文の内容を自分で言い換えて解答を作成してください」ということです。

分かりやすい例題を挙げて確認します。

次のような文章があります。

野球は日本で人気のあるスポーツだ。その一方、ソフトボールは野球と似ているがあまり人気がない。ソフトボールはバットと直径10センチくらいのボールを用いる。今回の東京オリンピックでは双方とも正式競技となった。

 

問 野球を子供たちとやるためには何が必要か問題文の趣旨にそって説明しなさい。

解答:野球を子供たちと行うためにはバットとボールが必要である。

 

当たり前かもしれませんが、野球にはバットとボールが必要です。

ですが、青色で囲った文章にはソフトボールはバットとボールを用いると書いてありますが、野球で用いるとは書いてありません。ただソフトボールと似ていると書いてありますので、それを踏まえて野球にはバットとボールが必要だと推測して解答します。

これが、本文の内容を自分で言い換えて解答を作成するということです。

本文の内容を自分で言い換えて解答を作成するためには文章構造を理解しておかなければなりません。

先ほどの文章を構造化すると次の通りになります。

①野球(a)=ソフトボール(b)

②ソフトボール(b)=バットとボールを使う(c)

解答 野球(a)=バットとボールを使う(c)

 

記述問題の解答作成では、文章の構造化が必須ですので、訓練していきましょう。

 

〇記述問題解答作成の構造化練習①(2007年)

黒住真「情報史からみた人間の変容」

問四 傍線①「書くことは、息吹きを殺し、人を弱める」とあるが、どういうことか。問題文の趣旨にそって80字以内で説明しなさい。

難易度★★★★☆

※解答作成の道筋

 

傍線①は比喩(擬人法)です。(「書くこと」は「人」ではなく、「行為」です。)

比喩を分かりやすく説明してくださいというのが、この問いの趣旨です。

つまり、傍線「書くことは、息吹きを殺し、人を弱める」の黄色で塗った部分の説明を行えばよいということです。

ただ、文章を読んでみると、「書くこと」という行為については、傍線直後の「書くことは・・・死と密接につながりをもつこと(これは比喩なので使えない)」以外に記述がなく、代わりに「書かれたもの」や「書記されたもの」といった書く行為でできたものについての説明がたくさんあります。

ですから、解答を作成するためには、書くという行為と書くという行為でできたもの(書かれたもの・書記されたもの)の関係性を理解する必要があります。

 

 

構造化すると次の通りになります。

①書くこと(a)は行為だ(b)。(a)=(b)

②行為(b)によってできたのが書かれたもの・筆記されたものだ(c)。(b)=(c)

③書かれたもの・筆記されたもの(c)は~というものだ(d)。

解答のヒント 書くこと(a)は (c)と(d) 行為(b)であること(緑の箇所に書かれたもの・筆記されたもの(c)の説明(d)をまとめてください)

 

問四の答え:書くことは、それによって書かれたものが死んで硬直して凝固物となり、書記されたものに頼って生きる<読み書く人>や群れを一貫して支配させつづける行為であること。

 

 

問五 傍線②「読み書きによるこの集中と離脱は、人をつよく支配し固定するが、他方、あらたな次元へと人を開放する」とあるが、どういうことか。問題文の趣旨にそって100字以内で説明しなさい。

難易度★★★☆☆

※解答作成の道筋

100字なので、傍線にある言葉それぞれを詳しく説明します。

①集中→この言葉について説明している箇所を探します。

②離脱→この言葉について説明している箇所を探します。

③人をつよく支配し、固定する→この文と同じ内容を説明している箇所を探します。

④あらたな次元へと人を解放する→この文と同じ内容の文(その保守性をのり越える)からオラリティーの流動性について説明している箇所を探します。

 

問五の答え:読み書きは集中のため読み書きの世界に入らねばならず、自然の環境からの離脱もあり、人に労苦と専念をもたらすが、オラリティーの多様な流動性を正確なものにし、精緻な指示や構造の体系となって産出させる。

 

 

仲正昌樹『分かりやすさの罠』
問一 傍線①「シミュレーション的に想像する」とあるが、それは具体的にどのようにすることか。問題文の趣旨にそって80字以内で説明しなさい。
難易度★★☆☆☆
※解答作成の道筋
①なぜ想像するしかないのかを説明します。
②具体的にどういったことを想像するかを説明します。

 

問一の答え:我々の世界認識の基礎になっている二項対立の図式は基本的には絶対的で不動であるため、それが働いていない混沌状態を他者認識や属性認識などにあてはめて想像すること。

 

 

問四 傍線③について、ここに挙げられている諸事例が「女性蔑視につながる」と「しばしば言われる」のはなぜか。六〇字以内で説明しなさい。
難易度★★☆☆☆
※解答作成の道筋
①諸事例のどこが女性蔑視につながるかを自分で考えて解答を作成します。

 

 

問四の答え:女ヘンが付いている感じには否定的な意味を持ったものが多く、「ご主人/奥さん」には敬意の程度の違いがあり、差別意識があるから。

 

 

〇記述問題解答作成の構造化練習②(2019年)

周東美材『童謡の近代』

問二 傍線①「伝統的な共同体がもつ秩序」とあるが、これをより具体的に述べた箇所の最初と最後の五字を抜き出しなさい。

難易度★☆☆☆☆

※解答作成の道筋

① 秩序について書いてある箇所を探します。

 

問二の答え:個人の外部~という秩序

 

問三 傍線②「「近代家族」という家族のあり方」とあるが、実際に「近代家族」が成立した過程を問題文の趣旨にそって100字以内で説明しなさい。

難易度★★★☆☆

※解答作成の道筋

① 傍線②を拡大して過程が書いてある箇所を探します。

② 「実際の家族」のあり方について書いてある箇所を探します。

③ 「成立」のことについて書いてある箇所を探します。

 

問三の答え:社会の構造的な変容と再配置が進むなかで、資本主義の進展とそれに伴う都市中間層の出現が起こり、宗教や伝統的共同体ではなく国民国家のもとに一元管理されることで近代家族の制度や規範が成立した。

 

問五 傍線③「一家団欒」とあるが、これを実現するためにどのようなものが創り出されたか。問題文の趣旨にそって50字以内で説明しなさい。

難易度★★☆☆☆

※解答作成の道筋

① 実現する方法について書いてある箇所を探します。

② 創り出すことについて書いてある箇所を探します。

 

 

問五の答え:家族にとっての情緒的結合の実践方法になる家庭音楽と新しい生活イメージを演出し一定の空間の中に囲い込む「茶の間」

 

 

南後由和『ひとり空間の都市論』

問二 傍線①「それは、最小化されたポータブル音楽プレイヤーではあるが、自分のものとして我有化しうる都市空間の領域を最大化する」とはどういうことか。問題文の趣旨にそって80字以内で説明しなさい。

難易度★★★☆☆

※解答作成の道筋

① 「最小化されたポータブルプレイヤー」のメリットを説明します。

② 「ウォークマン」の都市空間について書いてある箇所を探します。

 

 

問二の答え:ウォークマンは持ち運びが楽なモバイル・メディアで、装着するだけで様々なノイズに溢れる都市空間を書き替え、再編成し、自分のみに開かれた領域として所有できるもの

 

問三 傍線②「モバイル・メディアの諸機能は、ケータイへと結実していった」とあるが、ケータイに諸機能が結合されたことによって新たにもたらされた「ひとり空間」のあり方はどのようなものであるか。問題文の趣旨にそって90字以内で説明しなさい。

難易度★★★☆☆

※解答作成の道筋

① ケータイの「ひとり空間」で可能になったことについて書いてある箇所を探します(2箇所)。

② 従来の「ひとり空間」について書いてある箇所を探します。

 

 

問三の答え:従来のモバイル・メディアでは「バラバラ」に存在していた「ひとり空間」がケータイでは互いに分散したまま、ネットワーク化し、オンライン上でいつでもどこでも接続することが可能になったこと

 

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